第五話完結です~。

●ゴルゴちゃん13才
http://kakuyomu.jp/works/1177354054882199670

第五話「伝説のすた丼屋」編完結です!

そして引き続き、第六話「ゴディバ」編がスタートしておりますよノシ
……バレンタインが近いので!!


相変わらず毎日13時に更新しています。よろしくですー!

ワルキューレがとまらない。

●「マクロスΔ」レアトラック集 ワルキューレがとまらない
http://www.amazon.co.jp/dp/B01N107OGT


うっかりしてましたが、こんな新作アルバムが出てたので、さっそく愛車で流しております~。

いいですね、ワルキューレ!

星間飛行フレイヤバージョンは、フレイヤがワルキューレのオーディションで歌ったときのものみたいですね。
最初の自己紹介の演じ方も、こなれていなくて懐かしいなーと思うのと同時に、フレイヤの歌声がどんどんうまくなっていったのを今更思い知らされます。うん!


マクロス自体はまた、来年に新作がつくられるようですねー。ワルキューレが出てくるかどうかはわかりませんが、また楽しみです!ノシ

第四話完結です!

相変わらず「カクヨム」にて毎日更新をしている「ゴルゴちゃん13才」ですが、第四話が無事完結しましたー!

■ゴルゴちゃん13才
http://kakuyomu.jp/works/1177354054882199670

明日からは第五話が引き続き始まります。

これからもよろしくお願いいたします! 毎日13時更新ですよ~ノシ

立ち読み公開中です!

小説版アイギス「月下の花嫁」第七巻の立ち読みが、ファミ通文庫さんの公式サイトで公開されましたー!

http://fbonline.jp/08shinkan/08shinkan.html


今回で王城奪還まで書き切った、最終巻となります!

長らくありがとうございました。
発売日は30日です! よろしくです~ノシ


■千年戦争アイギス 月下の花嫁VII (ファミ通文庫)
http://www.amazon.co.jp/dp/4047344524/

ドラえもん最終回(if) 

※以下はドラえもんの二次創作です。

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■「さようなら、のび太くん」



 機械はいつか壊れるものだ。

 もちろん22世紀につくられた、ネコ型ロボットも例外ではない。


          †


 ドラえもんの「再点検」のお知らせ。

 その通知が所有者であるセワシくんのもとにも届き、ロボット点検センターに呼び出されることになった。

 まさか、という予感があった。

 タイムマシンで時間を自由に飛び越えられる今、必要な部品の手配はいくらでもできる。

 しかし新たな問題も発生していた。

 タキオンサビ。

 時間移動を重ねるうちに、機械を蝕んでいく特殊なサビだ。

 これに侵されれば、タイム風呂敷を使った再生も不可能になる。

 大抵はタイムマシンそのものに発生することが多く、それ以外ではめったに確認されないサビなのだが。

「患者の感情チップが、サビに侵食されています」

 点検センターにやってきたセワシくんに、ロボット技師のドクターが淡々と語った。

 モニターに映るのは、21世紀にいるのび太くんのもとから再点検のために戻ってきていた、ドラえもんだ。

 だけど一目でセワシくんにもわかるほど、ドラえもんの様子はおかしかった。

「お兄ちゃん……!」

 一緒についてきたドラミちゃんが声を震わせる。

 ドラえもんは点検ベッドに腰かけたまま、なにもない虚空をぼーっと眺めていた。

「記録によると患者は、21世紀とこちらを頻繁に行き来していたようですね。サビに侵された理由はそれかと」

 別の小さなモニターに、ドラえもんの体内が映し出される。

 そこに拡大された、ロボットの頭脳である感情チップは、もう半分ほどがサビていた。

「ここまで侵食されると、もう手の施しようがありません。サビはチップ内の、プログラムそのものにも干渉しているので……」

『うーん。ボク、なにをするんだっけ?』

 はて? とモニターの向こうで首をかしげるドラえもん。

『まあいっか。のび太くんに聞けば』

『のび太くん、遅いなあ』

『あれ? 違うぞ。ボクは未来に来てて……』

『……なんだっけ?』

『うーん。うーん』

「すでにごらんのとおり、ロボット痴呆も発症しています。進行速度は人間の認知症以上です」

 ドクターがこれ以上は聞かせられない、とドラえもんのいる点検ルームのマイクをオフにした。

 それでも、どうしようもない現実から逃れることはできない。

「やがて自分のことさえわからなくなるでしょう。あとは、家族が一緒に残りの時間を過ごしてあげてください」

 それ以外に、してあげられることはない。

 ドクターはセワシくんとドラミちゃんに向かって、絶望の告知をした。


          †


「お兄ちゃん、お兄ちゃん! ……大丈夫だからね」

「ドラミ? ねえ、のび太くん知らない? 今日は学校から帰ってきたら、一緒に遊ぼうって約束してたんだけど」

 迎えにきたセワシくんやドラミちゃんを見ても、もうドラえもんは違和感一つ覚えないらしい。

 のび太くん、のび太くんとそればかりを気にしているようで、そわそわしていた。

 ドラミちゃんが言葉を詰まらせ、ぎゅっとドラえもんに抱き着く。

 セワシくんは、しばらく駆け寄ることもできずに立ち尽くした。

 もう、どうしようもないのだ。

「帰ろう、ドラえもん」

 そう言うのがやっとだ。

 帰りはドクターが、ロボットタクシーを手配してくれた。

 だけどドラミちゃんの手を借りながらも、ドラえもんは廊下を真っ直ぐ歩くことすらできない。

 あっちへふらふら、こっちへふらふら。

「そっちじゃないよ、お兄ちゃん!」

「え? だってのび太くんが向こうに……」

「のび太さんは……のび太さんは、おうちで待ってくれているから。ね?」

「そう? そうだっけ。じゃあ」

 やっとのことで点検センターを出て、タクシーに乗り込むと、ドラえもんはそのままうとうとうたたねを始めた。

 その寝顔を見て、ドラミちゃんがずっとこらえていた涙をぽろぽろこぼした。

「お兄ちゃん……! もう、感情チップが止まりかけているんだわ」

 だんだんと眠りの周期が長くなり、最後は昏睡状態で、眠るように機能停止する。

 それが感情チップをやられたロボットの最期だった。

「セワシさん、わたしがお兄ちゃんの世話をするわ。だからずっと一緒にいていい?」

「うん。だけど……ドラミちゃん。最後は、きっとぼくやドラミちゃんじゃダメだと思う」

「あ……」

 静かに走り出したタクシーの中で、ドラミちゃんもセワシくんがなにを言いたいか察した。

「むにゃ、のび太くん」

 ドラえもんが寝言で、ずっと側にいた、のび太くんの名前を呟く。

「ふふふ。ほんとにダメだなあ、きみは……ボクがいないと」

「……ドラえもんの居場所は、もうこの未来じゃない。おじいちゃんのいる、21世紀なんだから」

 眠りながら笑ったドラえもんを見つめながら、セワシくんは覚悟を決めた。

 ドラえもんのために、自分にできることはきっと一つだけなのだ。


          †


「ドラえもん、ドラえもんったらあ」

「うーん……なに? あ、のび太くん?」

 ふわあ、と大きなあくびをして目を覚ましたとき、ドラえもんの目の前には眼鏡をかけた小学生の男の子がいた。

 見間違えるはずもない。

 野比のび太くん。

 ドラえもんがわざわざ未来からやってきて、世話をすることになった、セワシくんの遠いおじいちゃんだ。

 そしてドラえもんの、一番の親友だった。

「あれ? ええっと」

 ドラえもんは起き上がって首を捻る。

 ここはいつもの、のび太くんの部屋だ。

 六畳一間で、窓の外には21世紀の東京の風景が広がっている。

「あれえ? ボク、ボク……」

 さっきまでまるで別の場所にいたような、そんな気がしたのだ。

 けれどもきっと勘違いだろう。ドラえもんはもう気にしなくなる。

 そんなことすら考えられなくなるほど、感情チップはもう──。

「ね、ね! ドラえもん、今日は約束してたろ? ドラえもんと一日遊ぶんだって」

「え? そうだっけ、のび太くん」

「そうだよお。忘れてたの? もう、ドラえもんったら」

「ごめんごめん。でも、いいの? こんなに天気がいいのに、ジャイ、ジャイ……?」

 ジャイアンに、スネ夫に、しずかちゃん。

 いつもの他のみんなの名前が思い出せなくなっていて、ドラえもんは口ごもる。

「い、いいんだよ! ドラえもんとの約束が一番なんだからさ」

「そう? ふふふ、もう、しょうがないなあ~」

 うれしい。そんな気持ちがドラえもんを満たした。

「じゃあなにして遊ぼうか? のび太くん」

「え? そうだなあ……しまった、考えてなかったや」

「なあに? うっかりしてるんだから、きみは」

「ええと、ええと、そうだ! スゴロクやろうよ、スゴロク!」

 のび太くんがきょろきょろして、部屋の本棚の中に押し込んでいた、折りたたまれた一枚の紙を見つけた。

 雑誌の付録でついてきたものだ。

 一緒に、紙製のコマやサイコロも取ってきて、畳の上にスゴロクを広げる。

「よく遊んだよね、これ! ……覚えてる? ドラえもん」

「うん! ふふふ、そのサイコロ、かっこわるいなあ」

 形が歪なサイコロを見て、ドラえもんが笑った。

 のび太くんが一人でつくったものの、不器用すぎてうまくいかなかったのだ。

「なに言ってるんだ。これはぼくのスペシャルなサイコロなんだぞ。普通のサイコロより高い目が出やすいんだ」

「のび太くん、それイカサマ……」

「見てろ。僕から始めるからね。えーい!」

 黄色と青色のコマをスタート地点に置いて、のび太くんが不格好なサイコロを振った。

 ころころ、ころり。

 出目は「1」だ。

「ええーーーー!? そりゃないよお」

「うふふふふ。じゃあボクの番だよ。そーれっ」

 ドラえもんの丸い手がサイコロを転がした。

 今度はなんと「6」が出る。

「うわ、ずるいずるい! ぼくのつくったサイコロなのに~!」

「日頃の行いの差だよね。ふふふ」

 さて、とドラえもんは自分のコマを進めようとした。

 けれど、あれ? ドラえもんは腕を伸ばしたまま、固まってしまう。

「えーと。……ボクのコマ、どっちだっけ?」

「えっ。あ、青だよ青! ドラえもんの体とおんなじ、青い方だよ!」

「アハハ、そうだ。そうだった。こっちを……んん?」

「どうしたの、ドラえもん?」

「いくつ、動かせばよかったんだっけ……? ボク、なんだか」

「いい! いい、いい! やめよう、スゴロク! どうせぼくが弱くて負けるんだもん、ねえドラえもん!」

「え? うん。ふふ、そうだよ。のび太くんはなにをやらせてもダメだからなあ。ボクが勝ってばかりだよ」

「そうそう、ぼくはダメでドジで」

「グズでノロマでトンマで、実に頭は悪いし、顔もぱっとしないし」

「そこまで言わなくてもいいんじゃない!?」

「アハハ、ごめんごめん」

「もー!」

「そうだ。お詫びに、新しいゲームでもやろうよ。確か22世紀のスゴロクがこの中に……」

 ドラえもんはお腹にある、四次元ポケットに手を入れた。

「はい! ……あれ?」

 けれども掴み取れたのは、未来のスゴロクではない。

 二つセットで丸い手にくっついた、タケコプターだった。

「あれえ? なんで? 間違っちゃった」

「も、もうー。ドラえもんも、ドジなんだからあ。慌てるといっつもそうなんだから!」

「あー、そうだったね。ごめんごめん。じゃあもう一回……」

「いいよいいよ! それより、そうだ。ゆっくり話をしようよ!」

「え? 話? うーん、それだけでいいの?」

「いいんだ。ドラえもんは、嫌?」

「ううん、そんなことないよ」

「だよね。……特別なことしなくたっていいんだ。ぼくは、きみといるだけで、楽しいんだよ」

「うふふふふ。ボクもだよ、のび太くん」

「うん! あ、そうだ。ちょっと待っててね!」

 のび太くんがあることを思いついたようで、慌てて部屋から出て行った。

 すぐにドタバタと階段を上がって戻ってくると、後ろ手になにかを隠していた。

「えへへ、ドラえもん。あのね」

「もう、どこへ行ってたんだよ、のび太くん。今日の宿題は、ちゃんとやった?」

「えっ。……ドラえもん?」

「どうしたの? だから、宿題をだね」

 のび太くんが部屋を出ていたのは、ほんの一分くらいだ。

 けれどもその間に、ドラえもんはさっきまでのことを完全に忘れていた。

「し、宿題なら、やったよ。うん! 珍しく! あは、は」

「そうかい? ならいいけど」

「ドラえもん、それより、おやつの時間だよ。じゃーん!」

 のび太くんが手に持っていた、大きなどら焼きが一つのったお皿を差し出した。

「どう、どう? とっておきのを用意してたんだ、ドラえもんのために! えへへえ」

「うわあ、のび太くん……! これ、おいしそうだねえ」

「うんうん! はい、どうぞ」

「なんていうお菓子なの? これ」

 ドラえもんはじゅるりと涎を垂らしながら、無邪気に尋ねた。

 のび太くんが言葉を失う。

「……。どら、焼き、だよ。ドラえもん」

「へええー、どら焼きっていうんだね。こんなの生まれて初めて見たよ。いただいていいかしら?」

「うん。食べて、いいよ。グスッ」

「のび太くん? ……ははあ、さてはきみの好物なんだね。泣くほど我慢するだなんて、もう」

 眼鏡のレンズの向こうで涙を見せたのび太くんに、ドラえもんは苦笑いする。

 仕方ないなあ、と手に取ったどら焼きを二つに割った。

「はい、のび太くん。半分こしようよ」

「え……いい、の? でも」

「いいよ。ボクときみの仲じゃないか。ふふふ」

「うん……。どら焼き、一緒に食べようね、ドラえもん」

 せーの、でドラえもんとのび太くんは、同時にかぶりつく。

 中のアンコが甘くて、包み込む生地がふんわりとしていて、ドラえもんはおいしさにびっくりした。

「すごい! これはうまい、うまいもんだなあ。ねえ、のび太くん!」

「うん、うん」

「おいしいね、おいしいねえ。大好物になりそうだよ、どら焼き!」

「うん、うん」

「アハハ。のび太くん、一口しか食べてないじゃないか。こんなにおいしいのに、とっとと食べちゃいなよ」

「うん、うん……」


          †


 プツン。

 ザー、ザー。

 ピガガ。

「……のび太くん?」

 気が付けば、ドラえもんはまた眠っていたようだ。

 のび太くんの部屋の外が、茜色に染まっていた。

 もう夕暮れ時らしい。

「寝てていいよ。ドラえもん……」

 畳の上に転がっていたドラえもんの側に、のび太くんが寄り添っていた。

 やさしい声だ。それだけでドラえもんは安心する。

「ああ、ごめん。ごめんね……ボク、なんだかすごく眠いんだ」

「わかってる。わかってるから」

「ボクってほら、よくできたロボットだから。毎日ちゃんと睡眠が必要なんだよね。ふわああ」

「うん。いつもみたいに、押し入れで寝る?」

「……ううん。ここでいいよ。ふふふ、こうしてると昼寝してるのび太くんみたいだね」

 頭の下には、のび太くんが敷いたであろう、二つ折りにされた座布団があった。

 そこに顔を埋めて、ドラえもんの意識がまた、眠りに落ちていこうとする。

 ピーガー。

 だけど変な音が絶え間なくしていて、ドラえもんはうるさいなあ、と思った。

 それが自分の頭の中からのものだとは、気付かない──。

 終わりのときが近づいていた。

「ドラえもん、覚えてる? 初めてきみが、ここに来たときのこと」

 そんなドラえもんに向かって、のび太くんが一人で語り出した。

「いきなり机の引き出しが開いてさ。タイムマシンに乗って、やってきて……」

「……のび太くん?」

「最初に出してくれたのは、ほら。そこに出しっ放しになってる、タケコプターだったよね。懐かしいなあ」

「そうだっけ。そんな気もするなあ」

「そうだよ。ぼくは、忘れない。忘れないよ、あの日のことは」

 四次元ポケットにしまい忘れたタケコプターが二つ、夕日に染まる畳の隅に転がっていた。

「ううん、それからいっぱい、いろんなことがあって。大冒険だってしたよね?」

「ふふふ。そうだねえ」

「白亜紀に、恐竜のピー助を助けに行ったりとか、魔法の世界にしちゃったりとか。海底人に小さな宇宙人に、ロボットに」

「そうだったかなあ」

「そうだよ。危ないこともあったけど、ドラえもんがいたから無事に帰ってこれたんだ。ありがとう、ドラえもん」

「のび太くん……」

「うん」

「今日の宿題は、ちゃんとやった?」

「…………」

 今日、二度目の質問だった。

 一度目があったことさえ、ドラえもんはもう覚えていないようだ。

「のび太くん。暗くなる前にやっておいたほうがいいよ?」

「う、うん……わかってるよ。でもね、今は」

「ボクはね、きみのためを思って言ってるんだ。将来大変な思いをするのは、きみなんだからね?」

「ドラえもん。あのね、だからその話は……」

「また今度、とか思ってるから0点ばかりなんだよ、きみは。まったくもう、のび太くんときたらいつもいつも」

「いいから!! ドラえもん!!」

 のび太くんがたまらず語気を強めた。

「ああ、ごめん。……ちょっと口うるさかったかなあ」

「そんなこと……ないけど。でも、あのね。ドラえもん」

「うーん、なんでだろ。けど、すごく気になるんだよ。今、ちゃんとのび太くんに言っておかなきゃって」

「ドラえもん?」

「だってね、ボクはずっと、きみと一緒にはいられないからね」

「……っ!!」

「ボクは子守用ロボットだからね。きみが大人になったら、側にいる意味はないし。それにいつかは未来に帰るんだから」

「…………」

「だからね、ボクがいなくなっても、一人でがんばれるようになってもらわなきゃいけないんだ」

「…………」

「だってきみは本当に、ダメでドジで」

「グズでノロマで、トンマだからね……わかってる。わかってるよ、ドラえもん」

 本当にドラえもんは、のび太くんのことが心配だから、しつこいくらい忠告するのだ。

「ぼくね、やるよ。これから、ちゃーんとやる」

 ガガガ。

 ピーピーピー。

「言われなくても、自分から、やれるようになるよ」

 ガガピガ。

 ──プスン。

「だからね。約束するよ、ドラえもん」

 けれども返事はなかった。

「えっ。ドラ、えも、ん?」

 なにが起きたのか、のび太くんにもわかった。

 畳みに寝ているドラえもんの体は、もう動かない。

「待って、待ってよ! もっと、もっともっときみに話したいことがあるんだ! ほら!」

 のび太くんは手に持っていた、メモ帳を見せる。

「ここにね、いっぱい思い出のリストを書き込んできたんだ。汚い字で自分でも読みにくいけど、がんばって読むから!」

 ドラえもんの体を揺さぶる。

 けれどもやはり、ドラえもんはもう──。

「起き上がらなくてもいいよ、寝たままでいいから、そこで聞いててよ! だってまだまだこんなにたくさん残ってるんだよ?」

 リストにはドラえもんとのび太くんとの思い出が、何枚にも渡ってびっしり書き込まれていた。

「ひどいや。全部終わってないよ、ドラえもん……。ううん、本当はもっと、これからもこの先だって」

 メモ帳の最後のページには、まだ余白があった。

 そこには次の思い出を書き込むことができるのに。

「……ドラえもん……!」

 俯いたのび太くんの目から、大粒の涙があふれ出し、眼鏡のレンズにぽたぽた落ちた。

「ドぉラぁえもおおおおおおおおおおおお~~~~ん!!」


          †


《──「オ見送リ」シミュレーション、終了シマス──》

 窓の外で夕日が沈み、夜に変わろうとしたとき、突然そんな機械音声が流れた。

 するとのび太くんの部屋の姿が、一変する。

 机も本棚もふすまも畳も天井も、なにもかもがふっと消える。

 かわりに機能停止したドラえもんと、泣いているのび太くんを取り巻くのは、白い空間だった。

 お見送りシミュレーション専用ルーム。

 ここは人間用の、最期を看取るために思い出の場所を再現できる、ホログラム投影ルームだ。

 そこをドラえもんのために手配して、のび太くんの部屋を再現したのである。

「ひっく、えっく。お兄ちゃあん……」

 ホログラムの消えた空間に、外で待っていたドラミちゃんもやってくる。

 そしてセワシくんは、ドラえもんの側で眼鏡を外した。

 のび太くんは、のび太くん本人ではなかった。

 眼鏡をかけて変装した、のび太くんに背格好も顔立ちもそっくりな、セワシくんだったのだ。

 すべてはドラえもんに、安らかに最期を迎えてもらうための仕込みだ。

「セワシさん、お兄ちゃん、笑ってるわ」

「ああ……。ありがとう、ドラミちゃん。手伝ってくれた、このおじいちゃんとの思い出リスト、役に立ったよ」

「ううん。お兄ちゃんのためだから」

「おかげでおじいちゃんになりきれたよ。さすがに……おじいちゃん本人に、こんな役目はさせられないからね」

 悩んだ末の結論だった。

 でも、きっとこれが最善のはずだ。セワシくんはぐしぐしと涙を拭いながら、そう思う。

 動かなくなったドラえもんを見ているだけで、たまらなく胸が張り裂けそうになった。

 それが一番親しかったのび太くんなら、きっとこれ以上に苦しむだろう。

 こんな別れ方は自分たちだけでいいのだ。

「あとは、ドラミちゃん。おじいちゃんには……」

「ええ、のび太さんはまだ、ただの再検査中だと思っているはずだから」

 そのまま、ドラえもんが機能停止したことは伏せる手はずだ。

 かわりにドラミちゃんが、「未来へ帰らなくちゃないけなくなった」という偽のホログラムメッセージをつくる予定だ。

 一方的な突然の別れにのび太くんはショックを受けるだろうが、真実をそのまま伝えるよりいくらかマシなはずだった。

 だけど今は、セワシくんもドラミちゃんも、ドラえもんの前で泣く。

 哀しくて哀しくて、涙が止まらなかった。

 だって白い床に横たわるドラえもんの姿は、まるで今にも再起動しそうなくらい、きれいなままだったから。

 それでももう、ドラえもんが自分で動き出すことはないのだ。

「お疲れ様、ドラえもん……」

 セワシくんはドラミちゃんとともに、ドラえもんの青い体を抱きしめた。

 棺桶がわりの、ロボット用のカプセルが自動でやってくる。

 タキオンサビは別のロボットに感染することはないが、22世紀以降でも解明しきれていないものだ。

 よって完全滅却されることになる。

 ドラえもんの体は原子レベルで分解され、宇宙に廃棄処分されるのだ。

 残るのは思い出だけ。

「ドラえもん。今まで本当に、ありがとう。……さようなら」

「お兄ちゃん、お兄ちゃあん」

 カプセルに収容され、運ばれていくドラえもんを、セワシくんとドラミちゃんはいつまでも見送った。


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はい、というわけで……突然ですが、勝手にドラえもんの最終回を書いてしまいました!

「カクヨム」はKADOKAWAさん以外の二次創作がアウトなので、発表するなら自分のブログしかないかなーと。
まあ、単なる習作です。
文章もテンポのみ重視した書き方になっております。

お目汚し、失礼いたしました。

しかし、さわやかな終わり方にならないなあ……orz